ベンチャー企業に入社することになった東大法学部生の日記

ベンチャー企業に入社することになった東大法学部生の日記

東大からベンチャーというキャリアを選んでいます。自分の勉強も兼ねて、いろいろ有益な情報を発信していきたいと思います。

KDDIに買収されたソラコムが何をやっているのか調べてみた

はじめに

先日、ソラコムという会社が約200億円でKDDIに買収された。2010年以降のインターネット系企業の買収案件としては最大のものになるそうだ。

thebridge.jp

さて、恥ずかしながら、私はソラコムがやっていることを知らなかったし、会社のホームページを読んでもド文系法学部性であるため、何を言っているのかさっぱりわからなかった。

今回は、ソラコムが何をやっているのか、わからないなりに調べたので、みなさんにお伝えしたい。

※間違い等あったら指摘していただけるとありがたいです。

SORACOMのプラットフォームの仕組み

SORACOMのサービス開始当時に、SORACOMのメインサービスであるSORACOM Airについて説明した記事があったので、その記述を見てみよう。

SORACOM Airは従来のMVNO事業者が多額の投資で運用を開始してきたコアネットワーク(パケット交換、回線管理、帯域制御)とサポートシステム(顧客管理や課金)を独自に開発、Amazon Web Services (以下、AWS)のクラウド上に実装したのが特徴。

これによって、大幅な初期コストの軽減によるサービスインの実現と、このプラットフォーム自体を第三者に解放することで、各事業者によるよりきめ細やかなモバイルデータ通信サービスを実現するとしている。

引用元 thebridge.jp

さて、何を言っているのか全く分からない。1つ1つの単語を紐解いていこう。

MVNOって?

そもそも、MVNO事業者とは何だろうか。

どうやら、最近話題の「格安SIM」に関連するワードのようだ。

SIMという小さなチップがあることはご存知の人も多いだろう。携帯を買った際に、かわいい店員さんが携帯の側面から内部に差し込んでくれる'‘あれ’‘である。

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SIMとは、携帯が通信をするために必要なICカードのことらしい。このカードの中には、その携帯の電話番号を特定するための情報が入っている。

SIMがないと電話はもちろんのこと、どこの携帯会社の携帯かもわからなくなるので、モバイルデータ通信でのインターネットなどもできなくなる。

さて、このSIMとMVNOにどんな関係があるのだろうか。

簡単に言うと、MVNOの事業者は、「ユーザーへのSIMの提供方法」を従来の事業者の方法から変えることで、SIMを格安で提供できるようになったのだ。いわゆる格安SIMというやつである。

従来の事業者のことをMNO(mobile network operator)といい、移動体通信事業者と訳す。これはNTTドコモソフトバンクモバイルなどの事業者のことを指す。一方、MVNO(mobile virtual network operator)は、仮想移動通信業者と訳す。この「仮想(virtual)」の2文字が入るのにはどんな意味があるのだろうか。

従来のMNO事業者は、自ら基地局保有している。基地局は、全国にある携帯のためのアンテナだ。インターネットと携帯をつなぐものと考えてもらうのがいいだろう。この基地局と携帯(のSIM)が、無線によってやりとりをすることにより、携帯がインターネットとつながり、データ通信が可能になる。圏外になるのは、この基地局と無線でのやりとりができていない状況になっているからだ。

当然、この基地を保有するのには多額の金がかかり、それがユーザーの携帯料金が高くなる理由でもあるわけである。

MVNO業者は、この基地局を持たない。正確には、NTTドコモなど、すでに基地を持っているMNO業者から借りるのである。基地を保有しない分、当然データ通信のために必要な額を抑えられる。格安SIMの完成だ。

ここで疑問に思ったのが、なぜMNO業者は、競合になるMVNO業者にアンテナを貸してあげるのだろうか、アホなのだろうか、という部分だ。これにはちゃんと理由があった。

sim-tell.jp

この記事に書いてあるように、ドコモが電気通信事業において一定以上のシェアを占めてしまっているため、法律が適用され、基地局を借りたいと言っているMVNO業者を断れなくなっているのだ。

SORACOMは何をしているのか

さて、MVNO事業者が何かわかったところで、SORACOM Airが何をしているのかをもう一度見て見よう。

SORACOM Airは従来のMVNO事業者が多額の投資で運用を開始してきたコアネットワーク(パケット交換、回線管理、帯域制御)とサポートシステム(顧客管理や課金)を独自に開発、Amazon Web Services (以下、AWS)のクラウド上に実装したのが特徴。

このコアネットワークやサポートシステムとは何か。実は基地局があるだけでは、モバイル通信はできない。インターネットと接続するためのネットワークを築き、回線管理や顧客管理をするためには、専用機器を利用する必要がある。これは欧米のベンダーが提供するハードウェアであり、MVNO業者は、これの購入のための初期費用がかかるというハードルがあった。また、ハードウェアではSIMによるデータ通信の増減に細かい対応ができないという問題もあった。

SORACOM Airは、これらの必要な機能をAWSクラウド上にソフトウェアで実装したのだ。

これにより、MVNO事業者は初期費用を大幅に削減できるし、「SIMの通信速度の変更や通信の休止、再開、通信の監視や処理の設定などを一括操作することが可能」になる。

以上がSORACOMのプラットフォームの説明である。

IoT事業者にサービスを提供

さて、ここまでわかれば、先ほどの記事がだいぶ読みやすくなったのではないだろうか。

thebridge.jp

ここに書いてあるように、SORACOMはSIMをIoT事業者に提供していくことにより、IoT事業者はMVNO事象者とSIMの契約をすることなくSIMを使えるようになり、費用を安く抑えられる。

今後拡大していくであろうIoTの通信を担うプラットフォームとなるのだ。

おわりに

当然、SORACOMはさらにサービスを拡大しているが、SORACOMの基本的な部分は理解してもらえたと思うので、今回はこれで終わろうと思う。

今後もこのような解説をしていければなと思う。